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◇三河豊先生からのショートメッセージ

~2010年11月21日 秋の特別伝道礼拝のために~

 

《メッセージ:ムナのたとえ》

▼先月、新垣勉(あらがきつとむ)さんのコンサートが千厩中学校体育館で開かれました。千厩町教育文化振興会主催のコンサートで、中学校の文化祭と併せて開催されました。振興会の会長で、千厩小羊幼稚園園長の堀秀子さんが最初に挨拶をなさいました。〈新垣さんは事故により失明し、ある牧師に出会い、生きる希望を見出されました〉と簡潔に語られました。コンサートの中で新垣さんは〈平和〉について語られました。大きな拍手に包まれて、アンコールに応えて、最後に歌われたのは〈さとうきび畑〉の歌でした。〈ざわわ、ざわわ〉と始まるその歌詞の中に〈海の向こうから/いくさがやって来た〉という一節があります。新垣勉さんは、易しい言葉で語られました。〈平和を作り出すことは簡単なことではないけれども、一つ言えることは、自分だけが良ければいいという考えを捨て、他者のことを慮ることが大切だ〉と。このことを繰り返し語られました。

▼〈平和〉について私たちは「聖書」から教えられていますが、本日の御言葉は〈平和〉に反する、ある一人の王について語るものです。

▼「マタイによる福音書」25章(14~30節)に似たような譬え話があり、私たちはそちらの方をよく覚えているのではないでしょうか。〈タラントンのたとえ〉です。〈タラントン〉には〈才能〉という意味があって、神様は私たち一人一人にそれぞれ異なった才能を与えていてくださいます。私たちはそれを埋めておくのではなく、生かして用いよう。そのようにメッセージを聴いています。そのような考え方で、幼稚園の先生方に今回のこの〈ムナのたとえ〉をお話ししようとしたところ、〈私はこのたとえの意味が分かっていない〉と、立ち往生してしまいました。ここに出てくる〈残虐な王〉は〈父なる神様〉のことを語っているのでしょうか。それとも、全く別のことを語っているのでしょうか。

▼確かに、お金を預けられた者たちがそれぞれ、それを生かしてもうけ、報酬を受ける、という大枠はまったく同じです。けれども、この〈ある立派な家柄の人〉(12節)、やがて王になるべき人は、14節に記されているように〈国民から憎まれていた者〉であり、結びの27節では〈自分が王になるのを望まなかった敵どもを、ここに引き出して、わたしの目の前で打ち殺せ〉と命じています。恐ろしいことです。私はここに全体主義国家の姿を見て、戦慄を覚えます。この譬え話は、与えられた賜物を生かすようにと望んでおられる父なる神様の喩え話と同じでしょうか。それとも、全く別の、残虐な王について語るものでしょうか。

▼フラウィウス・ヨセフスという人がいます。紀元1世紀の人です。やがて歴史家となって「ユダヤ古代誌」「ユダヤ戦記」という大分の書物を残した人です。66年、ガリラヤはウェスパシアヌス率いるローマ軍に蹂躙されました。69年、ティトス率いる軍隊がエルサレムを包囲した時、ヨセフスは立てこもるユダヤ人たちに投降を呼びかけました。彼の著作は「聖書」の時代の背景を理解するための貴重な資料となっています。

▼ヘロデ大王が紀元前4年に死去しました。その領土を三人の息子が分割しました。三人の息子とは、ヘロデ・アンティパス、ヘロデ・フィリポ、ヘロデ・アケラオです。国を正式に受け継ぐためにはローマ帝国による批准が必要とされていました。アケラオはそれを皇帝アウグストゥスに請願するために、ローマに向かいました。その情報を得たユダヤの民衆は50人の使節をローマに派遣し、〈アケラオが王になることは不服である〉と訴えさせました。

▼このような出来事が実際に起こりました「ルカによる福音書」の時代の人たちは、この物語が実際に何を意味しているかを悟ったことでしょう。私たち一人一人が〈自分だけが良ければよいという考え方を捨てて、他者と共に生きる〉なら、この世界は〈平和な世界〉へ一歩近づくことでしょう。

▼「日々の聖句(ローズンゲン)」を読み続けてください。御言葉はあなたの道の光です。来たる2011年の年間聖句は〈善をもって悪に打ち勝ちなさい〉(ローマ12:21)です。御言葉の光の中を歩んでください。

三河豊:1989年から1995年まで日本農村伝道神学校に学び、その間、神学生として信濃町教会に在籍。奥羽教区秋田地区男鹿教会牧師を経て、2001年より、 同岩手地区千厩教会牧師。現在は同・柴宿教会牧師も兼務。

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