《説教題:この最も小さい者の一人に》
《聖書箇所:詩編106編44~46節 / マタイによる福音書25章31~40節》
≪ショートメッセージ≫
▼世界もこの社会も、目まぐるしく移り変わっています。かつては当たり前だったことが今では通用しなくなり、かつては存在しなかったものが、今は多くの人にとって必需品となっている、そうした変化はもちろんこれまでも繰り返されてきたに違いありませんが、現代はそのスピードがよりいっそう増しているように思えます。そして、その変化は、必ずしも進歩、進化、改善の方向ばかりとは言えません。世界にもこの国にも、対話や相互理解、配慮の思いではなく、分断や対立、排除の意識を煽るような発言・主張が声高に語られ、多くの支持を得ている現状を憂えざるを得ません。
▼宗教というものは本来、断ち切られたものを再びつなぐ役割をもつものです。宗教を意味する英語のreligionの語源からしても、そう言えると思います。神と人、人と人、人とこの世界の間をつなぎ直す、その役割をキリスト教は果たしていかなければならないと思いますし、現状を悲観したとしても、そのことに絶望してはならないと思います。長年キリスト教学校で聖書を語り、若い人たちと関わってきた者として、少しでも多くの方に聖書の福音に触れてもらいたい、聖書が示す希望を受け取ってもらいたいと願っています。
《野田美由紀(のだみゆき)》 立教大学文学部英米文学科卒業の後、社会人経験を経て東京神学大学に編入。1989年博士課程前期修了、日本基督教団正教師。現在は東洋英和女学院宗教部長。訳書に「現代聖書注解 テサロニケの信徒への手紙一・二」(日本基督教団出版局)、「第二コリント書の神学」(新教出版社)がある。
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